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「は?」
にこりと笑う彼女に、俺はただ口を開けて間抜け面をさらすことしかできなかった。
「だからね? ちょっとパリまで」
「いやパリまでじゃなくて」
思わず声すら遮って、みたけれど。それ以上の言葉は出てこなかった。彼女は不思議そうに首をかしげている。呑気にかわいいなぁとか思っている場合ではなく。
「なんで、ちょっと、で、パリまで、なわけ?」
「なんでって言われても……なんとなく」
心なしか頭が痛くなってきた。確かに彼女は時折突拍子もないことを言い出す。しかも、しっかりちゃっかり実行する。こういうときの集中力は半端ない。もっと他のことに使えばいいのに。まあ無理だと思うが。
「まさかとは思うけど、ひとりで行こうなんて考えてないよな?」
「まっさかぁ」
めちゃくちゃいい笑顔だ。それはもう。それにしても、裏切られなかったことには安堵するものの、なんだろう、この敗北感。とかひとりで考えていると。
「行ってくれるよね?」
「……え?」
「一緒に。ねっ?」
……思考停止。
「けーくん?」
俺か!
「ねー行こうよーパリぃー」
さぁ、俺はどうすべきか。いや、どうなるのか。どう、なっているのか。俺の、すぐ傍の未来、は。
~・~*~・~*~・~・~*~・~*・~・~
なんとなく書いてみた。誰だけーくんって。
別にパリに行きたいわけではないです(笑)どっちかっていうとアイルランド行きたい。